チョコミントアイスアフォガート
――郷邑の街 南より お店が立ち並ぶ道を一本外れた場所
買い物ついでに見慣れない喫茶店を見つけた千鶴は興味本位で立ち寄った。
ついでにコーヒー豆でも買おうと思いながら。
カランコロン
「ようこそ、喫茶シチリアへ。」
(どうやら、先に注文しておく形式のようだ)
「メニューはどちらに?」
「こちら側にあります」
と、右側の壁を手で指す。
「今ちょっとシェフが居ないので、パスタとかの料理が出せないのでそれ以外でよろしくお願いします。」
「大丈夫、ちょっと飲み物を頼もうと思って」
と言い、メニューを一つずつ見ていく。
「……チョコミントアフォガート?」
「チョコの苦みにミントの香り、アイスの甘さにはエスプレッソの味わいを」
「ちょうどシーズンですしオススメです」
「確かに、チョコミントシーズンね」
「じゃあこれをお持ち帰りで。あ、あとこの珈琲豆って」
カウンター下の珈琲豆のパックを指さす
「あ、それは750になります」
(あ、喫茶店価格だ)
「合計で1200か今出します」
「豆は粉にひきますか?」
「あ、豆のままで大丈夫です」
「家にグラインダーがあるんで」
「お、なかなかですね」
お金を渡す
「はい、ちょうどですね。ポイント登録は要りますか?」
「電話の下4桁とお名前で管理しているのでカード等は要らないんですよ」
「じゃあ登録します。○○○○で。朱鷺野です」
「はい、できました。では席でお待ちください」
商品を待つ間に常連と思われる人に話しかけられた
「ねえ、ここに来るのは初めて?」
「ええ、初めてですね」
身の上話をしばらくして注文したものが届いた。
チョコミントアイスは食べられるが好きというには積極的には食べていない千鶴にとってこんな気軽に頼んで大丈夫だったのかという気持ちがわく。
まあ、一口食べたところでそんな懸念は払拭されたのだが。
「意外だ」
そう言葉を漏らすと次にはあのメニュー頼めるといいなと思いながらマスターと常連に挨拶して喫茶店を発った。
この後、千鶴も常連になるのは別の話……。