七夕の夜に竹の葉さらさら

本編

此処は郷邑、天京界である。日付は7/6。七夕の前日の夜のこと。

鋼鉄の竹林にて、通り魔・埋根と葬魔・飛槍は作戦会議をしていた。

埋根「――なるほど。『剣竹林』を街に刺して、願い事を書く紙を売れば一儲けできるってわけだな!」

埋根「でもよ、一つ問題があるな……。」

飛槍「何だって?」

埋根「この剣、竹だろ?笹じゃなくねえか?」

飛槍「あ。」

飛槍「いやでもまあ。そこはどうにかなるだろ……。」

埋根「此処は一旦図書館に行かねえか?」

飛槍「なるほど、擬態する方法を探すのか。」

埋根「まあな。」

埋根「……おい賢者。」

涼(あ、バレた? なんか面白い話してるなーって思って。)

埋根「たしか街に図書館があるって言ってたよな?」

涼(そうだね。転送しとくよー。)

~~~~~~~~~~~~~~~~~~

埋根「さて、図書館まで来たが……」

埋根「扉は……開いてるな。」

飛槍「一応公共の場所とはなってるとはいえ、こんな深夜に扉開いてることあるのか?」

飛槍「なんか変なのでもいるんじゃあ……。」

埋根「こんなので日和ってたらおしまいだろ。さ、行くぞ。」

~~~~~~~~~~~~~~~~~~

埋根「たなばたたなたばたなばたたなぼたたなばた」

埋根「あったぞ。七夕の歴史だってさ。」

?「さっきから堂々と大声で話して、執筆の邪魔じゃないか。」

飛槍「で、出たーー!!」

埋根「驚きすぎだ……ところで、誰だ貴様。」

美郷「付喪神 美郷。夜の図書館の住人さ。」

埋根「初めて聞く名前だな。」

美郷「まあ、そうそう怖気づかないでくれたまえ。」

美郷「拙宅だから、その本、つまり七夕についてボクが質問に答えてあげようじゃないか。」

埋根「なるほど、この本一冊読み切るよりそっちのほうが早そうだ。」

埋根「そもそも、七夕に笹を使う理由はなんだ?」

美郷「結論から言うと無い。紙を吊り下げるのはどの樹でも構わないさ。」

埋根「次に、必要な紙の種類。」

美郷「基本的には青、白、赤、黒、そして黄色。それぞれに意味が存在する。」

美郷「それぞれの意味はこのメモを見てくれたまえ。」

埋根「ありがとさん。これを読む手間が省けたぜ。」

美郷「どういたしまして。それで、明日は七夕だけど何かするのかい?」

埋根「ああ、商売をちょっと。」

美郷「なるほど、明日はここも晴れそうだ。いい商売になることを祈ってるよ。」

埋根「親切にどうも。サンキューだぜ。」

~~~~~~~~~~~~~~~~~~

翌日……。

飛槍「青は自分自身が成長し、何かを達成すること。

白は何かルールを守ること。

赤は両親や先祖に感謝すること

黒は学業成就のために。

黄色は人間関係の改善にどうぞーー!」

郷邑の人々は何かを信じること自体は薄いが、
行事やイベントなどはワイワイやる方で、
無事埋根と飛槍はお金稼ぎができましたとさ。